
石灰化上皮腫(せっかいかじょうひしゅ)とは
皮内から皮下脂肪織に骨様に硬く、境界明瞭、若干凹凸を持つ結節 として触れる腫瘍です。直径は、0.5~3cm程度。上肢・顔面・頭頚部に好発し ます。単純切除を行います。
皮膚の下に石の様に硬いしこりを触れる良性のできものです。発生の原因は分かっていません。比較的若い人、顔、腕、頸などに発生することが多いよう です。
殆ど無症状ですが、時に押すと痛みを感じることがあります。触ると表面は凸凹していますが、境界ははっきりしています。時間とともに、徐々に大きく なることがあります。
丁寧な診察とシミュレーション
手術を行う前には、ご希望の状態に向けての丁寧なカウンセリングを行います。腫瘍の状況を判断して最適の手術法を検討します。当クリニックでは、約3cm~最大15cmまで脂肪腫摘出術の実績があります。
MRI画像診断
手術前にMRI画像診断(検査センター)にて大きさや深さ、性状を確認する場合もあります。
病理検査(びょうりけんさ、pathological examination)
手術で切除した腫瘍は、ほぼ全例に病理医に依頼して病理検査と呼ばれる顕微鏡等を用いた詳しい細胞の診断をしてもらいます。病理検査では、腫瘍細胞の性状や良性悪性の有無、浸潤している深さ、取り切れているかどうかなどの判断を行ってもらいます。術後10日前後で、病理検査の結果をお話できると思います。
石灰化上皮腫摘出術のダウンタイムやリスクなどについて
【施術時間】40分ほどで終了します。
【麻酔】局所麻酔で行います。
【腫れ・傷跡】個人差はありますが、数日間程度は腫れが出ます。切開した傷跡は、手術後6ヶ月程で腫れも治まり目立たなくなります。個人差により肥厚性瘢痕やケロイドが起ることもあります。
【通院】翌日にドレーン抜去や5日目に抜糸があります。
【お薬】内服薬や外用薬を処方します。
【メイク】翌日より可能。
【洗顔・シャワー・入浴】創部を濡らさないようにシャワーは当日より可能。
【運動】抜糸が終了するまでお控えください。
石灰化上皮腫摘出手術の料金について
皮膚・皮下良性腫瘍摘出手術では、腫瘍の大きさと部位によって以下の診療報酬点数が定められています(平成28年度診療報酬点数)
上記に初診料、再診料、血液検査料、病理組織検査料、画像診断料(検査センターに外部委託)、薬代、予約料(1000円税別)などが別に必要となります。

術後の起りうる合併症について
1.術後の痛み:手術後、局所麻酔は約30分ぐらいで切れてきますので、その後から軽い痛みを伴うことがあります。もし、痛みが気になるようでしたら我慢することなく痛み止めをお飲みください。痛み止めは1錠服用しましたら、次の服用までに3時間以上は間隔をあけてください。
2.出血:手術創の大きさを考慮しながら、シリコン製のドレーンと呼ばれる管を留置しているためガーゼが少し滲む程度の出血は認められます。ドレーンは、創部の皮下に血液が溜まらないように排出させる目的で使用します。この管は、血液の排出状態により翌日ないし翌々日に抜去します。(ドレーンを使用しない場合もあります。)
3.血腫:術後から抜糸までの間に手術創の中に血液の固まり(血腫)ができることがあります。このような場合には、局所麻酔を行い、出血部位の止血と血腫の洗浄を行います。その後、再度創の縫合とドレーーンを留置しガーゼで圧迫を行います。この時点から順調に経過すれば抜糸まではさらに5日必要になります。
4.感染:創部にばい菌が入り感染を起こすと痛みと膿が出てきます。このような場合には、医療用の生理食塩水を使用して創部とばい菌に溜まっている部分を毎日洗浄して清潔を保ちます。感染の消退には、一週間程度必要な場合もあります。
5.漿液腫:手術後2週間ぐらいまでの間に、手術創の中に自分の体液(黄色い液)が溜まることがあります。このような場合には、再度シリコンドレーンを貯留している部分に挿入し排液が止まるまでガーゼによる圧迫を行います。
6.皮膚壊死:血腫・感染・漿液腫などの結果としての皮膚壊死を認めることがあります。皮膚壊死の状況に応じて必要な処置を追加していきます。
7.ケロイド・肥厚性瘢痕:体質による個人差や手術部位によって、手術後2~6ケ月の間は手術創の赤みや硬結・色素沈着などを生じます。これらの症状は、リザベンや漢方薬の内服により、徐々に改善しますが手術による線状瘢痕は残ります。ケロイドについては、さらにケナコルト局所注射や外用薬などを追加した治療が必要となります。形成外科では、この線状瘢痕をシワのラインに残すことでよりできる限り目立ちにくくすることを考慮して治療をしています。
8.縫合糸膿瘍:縫合糸の抜糸と抗生物質の内服と外用で治療を行います。現在は、吸収糸で皮下縫合を行っているので発生率は稀です。
このような合併症を予防するためには、創部の安静が重要なため事前に説明を行った生活上の制約はお守りくださるようお願いいたします。